緑のカーテン、はじめました

2016年夏、はじめました。終息期近くになってなぜか記録開始。そのほか日々のあれこれも。

文楽(2016年9月、東京)

今回は、一部、二部の通し狂言で「一谷嫰軍記」と開場50周年記念で「寿式三番叟」。

通しで見ると11時から夜8時40分近くまで、休憩を入れての約9時間半。でも、一部、二部分けていくのもそれなりに大変、ということで久々にやりました、通し観劇。9/11はフルで、9/16はちょっと日和って第一部と第二部のチャリ場「脇ヶ浜宝引の段」まで(それでも7時間弱)。残りの熊谷桜・熊谷陣屋の段だけ9/18にも。(ちなみに全て三等席)。

いやぁ、見どころ満載で見ごたえがありました。実は源平はあまり得意ではない(軍記物全般的に、まぁあまり積極的に好きという方ではない…)。とはいえ、組討の段や熊谷陣屋は何度も観ていてもちろん超有名なので話の筋は分かっているし、普段見たことのない宝引の段は咲太夫の語りなので期待大ということで、基本的には二部メインで鑑賞計画を立てていた。意外にも一部を今回じっくり見ることで、熊谷直実と敦盛の悲劇の物語と、平忠度の風流な武士の物語とが重層的に絡みその端緒からいくつかの伏線を経て立体的に描かれていく構成の妙を感じられたし、また陣屋の場面だけだと「部分」からしかイメージできない弥陀六の存在感が、弥陀六内・宝引の段から続けて見ることで非常に印象的に浮き彫りにされてくるのがとても面白かった。ただ、陣門・須磨浦・組討の段と進んでいく中で、敦盛と小次郎が入れ代わった後に入れ替えた張本人が相手に何者かと尋ねる件については、どうしてもその「芝居」加減をどう受け止めながら見ればいいのか、困難を感じてしまう。

それはともかく、今回の見どころは敦盛出陣の段での女房達の華麗なる立ち廻り、組討の段での遠見からの人形の切り替わりの場面、大人数のキャラをまたうまいこと捌いて可笑しみを存分に語る咲太夫の面目躍如の宝引の段あたりかとは思うが(陣屋の段については、言わずもがななので)、三番叟もわたわたして(いかにもくたびれたように見えて)いる主遣い(簔紫郎さん)の動きにどきどきしたのもなかなか新鮮ではあった。

どちらかと言えば苦手な源平の物語であったけれど、今回かなり集中して物語を味わうことができたのは、夏に四国に行って屋島や、瀬戸内の島やらを実際に目にしたことで物語の舞台に対する距離感が少し縮んだせいもあったかもしれない。またそもそも夏休み期間ということもあって体力的な余裕があったことは大きかった。

次は、師走の忠臣蔵。こちらも通しということで大変だけれど期待したい。

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Instagram 小劇場内、こんな風になっていた。